土用干しの季節に。伝統海塩「海の精」と、梅干しという文化
土用干しの季節に。伝統海塩「海の精」と、梅干しという文化
A Special Summer Encounter
特別な塩と出会う夏
梅雨が明け、油照りの太陽が照りつける頃、日本の台所には決まった匂いが漂い始める。梅と赤ジソ、そして塩が寄り添いながら発酵していく、あの独特な酸味を含んだ香りだ。

この季節にこそ知ってほしいのが、伊豆大島生まれの伝統海塩「海の精」と、そのブランドが半世紀近くにわたってつくり続けてきた梅干しの物語である。単なる調味料としてではなく、なぜこの塩が梅干しづくりに選ばれ続けているのか。その理由を、歴史とこだわり、そして商品それぞれの個性からひもといていきたい。
海の精製品は店舗はもちろんオンラインショップでも購入できます。
The Origin Story
海の精、誕生の物語
話は1971年(昭和46年)にさかのぼる。この年に施行された「塩業近代化臨時措置法」により、日本各地にあった伝統的な塩田はすべて廃止された。それ以降、海水を原料に国内でつくられる塩は、「イオン交換膜法」と呼ばれる近代工業的な製法によるものだけになる。
イオン交換膜法でつくられる塩は、塩化ナトリウム純度が極めて高い、いわゆる超高純度塩だった。しかしこの塩がそのまま食用として広まったことで、日本人の健康を案じる、食に高い関心を持つ人々が伝統的な塩の復活を求めて動き出す。

運動はやがて組織化され、1976年(昭和51年)、伊豆大島に製塩研究所が開設される。伝統製法による塩づくりが法律で禁じられていたため、それまで乾季のない日本ではつくられることのなかった「天日海塩」――海水を太陽熱と風の力だけで結晶させる製法――の研究に挑み、開発に成功した。国から特別な試験塩製造の許可を取得し、これを足がかりに、独自の会員配付という仕組みで試験塩を届け始めたのである。

その後も「自然塩復活運動」は地道に推進され、天日と平釜を用いた伝統海塩の復活と自主流通が実現していく。そして1997年(平成9年)、塩専売法が廃止。国産塩の製造販売が自由化されたことで、伝統海塩「海の精」は一般市場においても、調味用塩や加工食品の原料用塩として大きく広がりを持つようになった。
海の精株式会社は、この運動によって生まれた組織を母体としている。伝統海塩「海の精」は、その誕生の地である伊豆大島から、今日もわたしたちの食卓に届けられ続けている。
Six Principles
海の精、6つの約束
海の精には、創業以来ぶれることのない6つの原則がある。単なる企業理念ではなく、商品づくりのすみずみにまで貫かれている約束だ。

産地の原則 ―― 原料産地、製造産地とも日本国内とする。ただし香辛料など日本で採れない原料、ゴマなど生産量が極めて少ない原料をやむをえず使用する場合を除く。
原料の原則 ―― 農産物は国産の有機や特別栽培を優先し、非遺伝子組み換えによる露地ものや季節ものを使用する。水産物は近海の天然ものを使用し、畜産物は原則として使用しない。食品添加物などの化学薬品は一切使用しない。
製法の原則 ―― 伝統的・自然的・物理的な製法を用いる。近代的・人工的・化学的な製法は用いない。機械による省力化をする場合も、基本的な工程は変えない。
成分の原則 ―― 素材がもつ成分バランスを大切にする。抽出・精製・合成などによって、特定の成分を過度に高純度化したり、過度に除去したりしない。
味の原則 ―― 素材がもつ本来の味を大切にする。調味は塩で素材の味を引き出すことを基本とし、人工的な旨味料、甘味料、酸味料、塩味料などで味をつくらない。
思想の原則 ―― 祖先が数千年の歳月をかけて生み出した伝統的な食体系を尊重する。新たな食品を創作する場合も、「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」の原理を順守して行う。
この6つの約束があるからこそ、伊豆大島の海水100%を、天日と平釜だけでじっくり結晶させるという、手間のかかる製法が今日まで守られてきた。
The Role Of Salt
梅干しの美味しさは、塩で決まる
梅干しというと、つい梅そのものの品種や産地に目が向きがちだ。しかし海の精が一貫して伝えているのは、梅干しの味を本当に決めるのは塩であるという事実だ。

伝統海塩「海の精」には、ナトリウムだけでなく、マグネシウム、カルシウム、カリウムといった無機成分(ミネラル)がバランスよく含まれている。これらの成分が梅とシソの風味にしっとりとなじみ、漬け込みから熟成にいたる発酵のプロセスをやさしく後押ししてくれる。
一方、イオン交換膜法でつくられた塩は塩化ナトリウムの純度が極めて高く、この複雑で奥行きのある味わいを生み出すことができない。梅干しに限らず、味噌や醤油、漬物、豆腐といった日本の伝統食品の多くが、伝統製法の塩や苦汁があってこそ、本来の味と滋養を醸し出すとされている理由もここにある。
The Umeboshi Lineup
海の精ブランドの梅干し、その系譜
海の精ブランドの梅干しは、大きく3つの系譜に分かれる。それぞれに個性があり、原料へのこだわりも徹底している。
紅玉シリーズ ―― 奈良県吉野と紀州の契約農家で栽培された梅とシソ、そして伝統海塩「海の精」だけを原料とする。シソの使用量は通常の2倍というぜいたくな配合で、鮮やかな紅色から「紅玉(べにたま)」と名づけられた。
南高梅白干し ―― 梅の名産地として知られる紀州南部(みなべ)の南高梅と、伝統海塩「海の精」だけを原料にした、シソを使わない白干しタイプ。高級梅ならではのやわらかい果肉と味わいが持ち味だ。
白玉梅干(国産有機) ―― 2023年8月に新発売された比較的新しい商品。奈良吉野や紀州で有機栽培された梅を、伝統海塩「海の精」だけで熟成させ、丁寧に天日干しした白梅干で、梅干しとしても有機JAS認証を取得している。木で成熟させた梅由来のまろやかな酸味と、海の精のおいしい塩味が、シンプルながら奥深い味を生み出す。減塩をせず、糖類やアミノ酸類などの添加物も加えていないため、昔ながらの梅干しが持つ薬効もそのまま期待できる。100gあたり熱量64kcal、食塩相当量17.6gという栄養成分にも、その潔い原材料構成が表れている(原材料は有機梅と塩のみ)。
いずれの商品も、原料はすべて国産、塩分はすべて伝統海塩「海の精」、そして食品添加物は旨味調味料・甘味料・着色料を含めていっさい使用していない。この一貫性こそが、海の精の梅干しが長く支持されてきた理由だ。
How To Make Umeboshi
土用干し、梅仕事の基本
土用(7月20日頃)を迎え、晴天が続くこの時期は、梅干しづくりに最適なタイミングだ。海の精が紹介している基本の作り方を、あらためて整理しておきたい。

まず梅2kgに対し、下漬け用の塩400gを用意する。梅を洗って水気をしっかり切り、竹串などでヘタを取り除いたら、梅と塩を交互にボウルで合わせながら漬け込み容器に入れていく。最後に残った塩を表面にまんべんなく振り、落としぶたと重石をのせて、赤ジソが出回る時期まで待つ。

赤ジソが手に入ったら、葉を摘んで水洗いし、塩でもんでアクを出す。下漬けの際に上がった白梅酢の一部を使って赤ジソを赤く発色させ、これを下漬けした梅の上にのせて赤梅酢を注ぎ入れる。落としぶたと重石をのせ直し、冷暗所で保存する。

土用の晴天が続く頃合いを見て、梅をザルに広げて天日に干す。日中は一度裏返しながら、2〜3日ほど天日干しを続け、皮がやわらかくなったら完成だ。年明けまで熟成させると、塩がしっかりと梅になじみ、さらに深い味わいになるという。
なお、時間をかけて発酵・熟成させる梅干しやぬか漬けには、あらしおと同じ製法でつくられた「海の精 漬物塩」が特に向いているとされている。塩の成分が発酵を助け、素材にしっとりとなじむためだ。
Why Choose Uminosei
なぜ、いま「海の精」の梅干しなのか

大量生産・大量消費が当たり前になった時代において、海の精はあえて手間のかかる伝統製法を選び続けている。天日と平釜だけで海水を結晶させる塩づくりも、契約農家による有機・特別栽培の梅も、添加物を一切使わない梅干しづくりも、決して効率のよい選択ではない。
しかしその手間の先には、素材本来の味とミネラルバランス、そして先人たちが数千年かけて育んできた食文化がある。「美味と健康をお届けします」という合言葉のもと、海の精は伝統海塩のリーディングカンパニーとして、これからもこの姿勢を貫いていくという。
海の精製品は店舗はもちろんオンラインショップでも購入できます。
A Gift From The Sea And Sun
海と太陽からの贈り物を、日々の食卓に

炊きたてのご飯に添えるおむすび。疲れたときの梅醤番茶。青魚を煮るときのひと粒。伝統海塩「海の精」でつくられた梅干しは、どんな場面でも日々の食卓にすっと寄り添ってくれる。
その酸味の奥には、伊豆大島の海と太陽の恵み、そして半世紀にわたる自然塩復活の歴史が詰まっている。この夏は、海の精の梅干しとともに、土用干しという日本の食文化にふれてみてほしい。
参考:海の精株式会社公式サイト(https://www.uminosei.com/)






